大島石マガジン

第67回「大島石あれこれVOL8」

2014/01/09

また如何にフィーリングでやり飛ばす丁場師でも交通と通信網が発達し

更に二十ヵ国にも及ぶ世界各国のさまざまの石材が大量に輸入されている現状では

墓石市場について無関心ではいられなくなりました。

 

関西市場は大島石中心の廻っていると云う事で、

利にさとい日本の商社が世界各国から大島石に似た石を探し出し、

それ等を大量に輸入してくるんですから我々もうっかりしてはおられません。

更に加工機械の発達により墓石工場は末恐ろしい程の大量生産を続けており

これも完全に供給過剰の時代に入りました。

 

我々は採算性は別にしても、

よくもまああれだけ大量の墓石が売れて行くものだと感心致します。

また加工屋さんなどを見学致しますと、

どの工場にも世界各国からの輸入外国材が山積みされ、

数十種類の色とりどりのサンプルが置かれ、

その中には只美しいと云う丈なら大島石より美しいのがいくらでもあるのです。

 

 

このような激しい競争の中にあって、

販売業者の努力もさることながら大島石がよくもまあ売れて行くものだと不気味でさえあるのです。

これが消耗品で無い丈に需要の頭打ちが心配されるのです。

 

 

最後に大島石の埋蔵量のお話です。石の無くなる心配。

これは丁場師のみならず、大島石に経済的に関する販売業者、加工業者、

更には町民の皆様までの一大関心事であります。

 

これも見た目にはぐんぐん底をついている感がするものの、

石の埋蔵量はあくまで切石の歩留り(採算性)の問題ですから、

これ等も大型建設機械の積極的な投入により、

作業のスピードでもって生産性の低下を防ぎ、歩留りが低いとみなされていた場所等も

相当に残っておるため生産量をある程度低下させないで

まだまだ相当の期間継続採取出来る見通しを持っております。

 

 

このように現在の丁場師は厳しい行政管理と激しいシェアー(市場占有率)争奪戦、

歩留りの低下から来る広い廃土石置場の必要性等々、

多くの問題を抱えており、その未来展望は決して楽観は許されません。

 

 

建前と責任転化の悪循環、人間の行動から能力に至るまで、

全てコンピューターによって管理されんとする夢の無い世の中にあって、

我々丁場師は幼児が架空の世界のみに存在するサンタクロースを夢見るように、

大地の下に全てを賭け、

人間が人間である所以の限りない夢と想像の仕事でもって生きていられる事は、

結果はともあれ、幸わせ者であるのではないかなどと考えたりもします。

 

 

 

終わり

 

・ ~ ・ ~ ・ ~ ・ ~ ・ ~ ・ ~ ・ ~

 

最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。

この記事はもはや30年以上前のものになりますが、

根本的な石材業界の様子は大きくは変わっていないと思います。

 

”変わらない”のか、”変われない”のか。 どちらもあるような気がしますが・・・。

 

ともあれ、多くの方がこれを一読すると、まあなんともネガティブな、

という印象をお持ちになると思われますが、

しかし会長本人も、精一杯の山石屋への愛情を込めて綴った、

と回想しております。

 

 

私個人としては、映画”アルマゲドン” をよく引き合いの出すのですが、

あの映画で原油の採取場で働く面々というのは、

なにやら大島石採石所で働く男たちと共通したところがあるように思うのです。

 

いわばその人生のすべてを、神の采配に任せ委ねていると言えるのですから、

そのなんともいえないおおらかさというか、大雑把さというか(笑)

 

 

しかし地球からものを奪う という、

必要不可欠でありながら極めて特殊で少数なこの仕事は、

もうほぼ ”神事”に近い、とすら思えます。

 

 

日本国の文化的側面からみても、それは継承し、維持していかなければならないと、

そう感じます。

 

 

 

 

 

 

大島石産出元 ㈲山西石材  小田 和比古

フリーコール 0800-700-1194

 

oda

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