2014/01/05
私はよく思うのですが、
他の職業、例えば、床屋さんとか他の店舗では、
経営的に悪ければ悪い程、客が来ないから身体なりと楽なんですが、
大島石丁場に於ては、悪ければ悪い程肉体労働の量質ともに激増し、
なけなしの資金が流出するスピードも早いんです。
それよりも何にも増して辛いのは、
共に働いてくれている職人さんの方が先に山に見切りをつけてしまう事なんです。
連日の仕事に徐々に覇気を失って行くのが、手に取るようにわかるんです。
またそんな時に限って、事故や怪我も多く、
また各種機械類までもよく故障し(各種機械類の大部分は、廃土石処理のためにある)
全くいい所なしなんです。
これがしばらく続くと心身の過労と底の見え始めた資金と行先の不安でふらふらになり、
もうこうなりますと正にこの世の地獄です。
では、思い通りに石に当たればどうなるか、
全述の当らなかった時に味わう諸要素が全く逆になり、
身体は楽であり良質の石だと仲買いが群り相当な所得も得られ、
大島石の産出が順調な時の経費なぞ知れたものなんです。
では、地獄の正反対の極楽かと申しますとそれも案外そうでもないんです。
それは何の職業にでもあるんでしょうが、石山の宿業とでもいいましょうか、
その心配の内容がかなり深刻なんです。
まず大島石は自然石ですから、取ればなくなり、再生不可能な完全な消費材ですし、
多発する労災事故にも何時も脅えていなきゃあなりません。
それに収益性と安全性(労働安全)という二律背反の事業の特質と、
どんなに安全対策を立てても、
作業の性質上事故の要因を完全に取り除く事は不可能なんです。
大島石の産出過程にも自然相手の仕事独特の不確定要素(取って見なければ解らない。)
その他採取場及びその周辺の借地の問題等々、
努力だけでは絶対に解決できない事が多く運に任せて流れているような所があるんです。
その一見派手に見える生活も、それは不安と脅えの裏返しなんですから、
少しも羨ましがられる事はないんです。
一見華やかに見えてもその実、大変孤独な事業ともいえるんです。
続く
大島石産出元 ㈲山西石材 小田 和比古
フリーコール 0800-700-1194
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